自己紹介

スタンフォード大学航空宇宙工学専攻の博士課程(三年目, Ph.D. Candidate)に在籍しています。現在はNavigation and Autonomous Vehicles (NAV) Labにて、月軌道上の宇宙機の自律ナビゲーションや月測位衛星システムの実現に向けた各種アルゴリズムやシステム設計について研究しています。所属研究室では、月測位サブグループのリーダーとして、複数名の大学院生をメンタリングしています。また学習と研究に当たっては、2021年秋より中島記念国際交流財団から奨学金の支援を頂いています。

学部4年時および修士課程では、東京大学大学院の航空宇宙工学専攻内の中須賀・船瀬研究室にて、主に月GPSシステムについての研究と超小型月探査機EQUULEUSの開発に携わっていました。他には、ジョージア工科大学のSpace Systems Optimization Groupと共同研究を行ったり、JAXAの宇宙科学研究所にて次世代の深宇宙ミッションの概念検討に携わっていました。スタンフォード在籍一年目には、Space Rendezvous Labと共同で測角情報を利用した複数宇宙機の協調ナビゲーションの研究も行なっていました。

宇宙開発や宇宙探査を今後も持続可能な形で発展させていくためには、宇宙へのアクセスをより多くの人に開かれたものにし、多様なバックグラウンドを持つ方々を巻き込んでいく必要があると考えています。私は大型衛星・探査機に比べて低コストで開発可能な超小型衛星の可能性を広げる研究を通して、少しでも宇宙開発の「民主化」に貢献したいと考えています。現在は月面における持続可能な探査に対する国際的な関心が高まっていることもあり、月圏での自律的な位置決定や時刻同期の手法について研究しています。

研究内容研究実績その他最新情報については基本的に英語にて該当箇所に記載していく予定です。

学歴

2012.4 - 2015.3   私立麻布高校
2015.4 - 2016.8   東京大学 教養学部理科一類
2016.9 - 2019.3   東京大学 工学部航空宇宙工学科
2019.4 - 2021.3   東京大学大学院 工学系研究科航空宇宙工学専攻 修士課程
2021.9 -               Stanford University Aeronautics & Astronautics Ph.D. program

海外大学院出願について

2020年度に行なった海外大学院出願の体験記を書きました。留学説明会の際のスライドも良かったら参照してください。もし海外大学院の出願 (特に航空宇宙系工学系) について質問等がありましたら、直接メールしていただくかXPLANEのSlackチャンネル内でDMしていただければ、私で良ければ答えられる範囲で喜んでお答えします。(メールの方が早く返信できると思います)

コンタクト

kiiyama{at}stanford.edu

趣味 など

  • 中高大と10年間部活でバドミントン競技に取り組んでいました (東大運動会バドミントン部) 。
  • 日本にいたときは一眼を持って奥多摩や奥秩父の山によく繰り出していました。最近車を買ったので、アメリカでもトレッキングを再開したいです。

お勧め小説紹介

留学してから読書(もっぱら小説)にハマっております。以下いくつかお気に入りの紹介です。(いつかちゃんとブログ記事にしたいと思います)

  • アーサー · C · クラーク『幼年期の終わり』
    • 自分たちより遥かに進んだ文明に出会った人類の辿る運命を通して、「進化」の宿命性と不可逆性を宇宙的なスケールで描いた作品です。良い表現か分かりませんが、物事を巨視的な視点から、熱力学的に捉えていった結果、作者が仏教的な精神世界に到達していったのが興味深いです。情景描写も非常に美しいですし、SFという枠を超えた傑作だと思います。
  • 安部公房 『方舟さくら丸』
    • 来るべき核戦争から身を守るための、現在版「ノアの方舟」とも言える巨大地下核シェルターを夢想する男。それを可能にするのは、なんでも流せる便器。だが、各々の野心のために彼の方舟への侵入を試みるアヤシイ人間たちが次々に現れて、男の計画は徐々に崩れてゆく… ともすれば煩わしい、他者や外界から完全に切り離された「完全なる閉鎖系」で人は生きて行けるのか?その夢と限界が皮肉たっぷりに描かれた小説です。
      • そういう意味では本書も熱力学的なテーマの小説かもしれませんね。もっとも、安部公房の小説の世界では往々にして現実と妄想、さらには嘘がごっちゃになり、相互作用してしまうので、エントロピー増大則が成立しているのかは知りませんが…
    • (本文より)『それに本来、嘘を承知ではしゃいで見せるのがサクラだろ…』
    • 世の中の大半のことなんて所詮上辺だけの偽物でしょ… なんて時々考えて寂しくなってしまう少し心優しくも天邪鬼な方々には安部公房はお勧めです。彼の小説の中で実にしたたかに躍動する「偽物」たちを見ていると、少し元気になれますよ。冷静に見れば完全に拗らせている妄想やトンデモ理論も、彼クラスの天才が小説にすると芸術性を帯びてしまうから恐ろしくもあるのですが…
  • 劉慈欣『三体II: 黒暗森林』
    • 全三部ある中で、この二部が一番好きです。作者のSF愛が強すぎるせいなのか、途中色々脱線もあって、コアなSFファンではない私には少し冗長に感じてしまうところもあるのですが、作中で提示されている理論(仮説)はシンプルかつ奥深く、非常に面白いです。
  • ツルゲーネフ『はつ恋』
    • 恋愛において、現実と自分のアイデンティティとをごちゃ混ぜにしてしまう、(男子校育ちの可哀想な)青年の多くが10-20代で経験するであろう挫折を、200倍くらいに煮詰めたような小説です。自分の心の中で神聖視していたものが、実にあっけなくリアルに飲み込まれて汚されてしまう体験は、(恋愛に限らず)誰しもがするもののような気がするので、そういう意味では普遍性を持ったテーマでもあるような…
  • ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
    • さすが世界文学史上屈指の傑作です。個人的圧倒的ナンバーワン。中巻ラスト、追い詰められたミーチャが「童の夢」を見るシーンは特に感動しました。
    • 「自らで真実を決める」ということは究極的にどういうことなのか、見返りを求めない真の愛からなる連帯は存在しうるのか、連帯と自由は対立する概念なのか… などと素人なりに色々と考えさせられる小説です。
    • でもそんな浅はかな考察などしなくても、圧倒的にリアルで躍動感のある登場人物を眺めているだけで楽しめました。
    • 原先生の訳は人気の亀山先生の訳に比べると文章が硬めですが、重厚な雰囲気が伝わってきておすすめです。